皆さんの中には、不登校児が南の島で生き生きと生活しているという話を、どこかで見聞きしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
それでは南の島で一体、不登校児に何が起こっているのでしょうか?
ここでは、2つの南の島を例に挙げ、その実状について解説していきます。
過疎化をきっかけに不登校児の受け入れへ―鳩間島
ノンフィクション作品「子乞い―沖縄孤島の歳月」やそれを基にした漫画「光の島」やドラマ「瑠璃の島」で知られる鳩間島。
その鳩間島は、昭和50年代半ばに、小学校の在校生がたった1名となり、廃校の危機に瀕しました。
しかしその後、島の住民が里親になり、住民の親類や全国各地から児童を受け入れるようになり、小学校を存続させることができました。
その児童たちの中には不登校児も多数おり、彼らは自然の美しさだけでなく、ときには台風の襲来による、その厳しい一面にも晒され、停電や断水が何日も続くといった不便さえ強いられます。
また、里親の元では彼らは厳しくしつけられ、昔ながらの島民の基準において「一人前になる」ことを求められます。
その一方で、学校の授業においては、小さな離島の学校ならではの、少人数制によるきめ細やかな授業が行われ、児童一人ひとりにまで目が行き届く教育がなされています。
不登校児たちは、この小さな南の島において、実家にいてはできない経験を通して、たくましく育っていきます。
なお現在、里親を受け入れていた島民の高齢化により、里親制度は行われていませんが、留学支援施設において共同生活のもと、1年間の留学制度を設けて、小中学校の存続を図っています。
留学センターによる不登校児の受け入れへの取り組み―久高島
ノンフィクション作品「不登校児 再生の島」で知られる久高島は、鳩間島同様、周囲を珊瑚礁に囲まれた小さな島です。
久高島は、横浜出身の坂本清司氏が2001年に開設した「久高島留学センター」において、全国各地から「山村留学」という形で、不登校児たちを受け入れています。
久高島留学センターでは、共同生活のもと、島の年中行事への積極的な参加など、島の住民との様々な交流を通して、不登校児たちがたくましく成長できる機会を提供しています。
彼らは留学センターで寝食を共にしながら、島内の小中学校に通い、その存続は留学センターにかかっていると言われるほどです。
島ぐるみで地域伝統文化学習や自然環境学習を行い、テレビやゲームから離れた、ゆったりとした時間の流れる自然環境の中で、不登校児たちの心身の健康を取り戻すことを主眼に置いています。
まとめ
鳩間島と久高島の2つの南の島では、全国各地から不登校児たちを受け入れています。
テレビやパソコン、スマートフォンでは味わえない、島民との生身の交流や様々な顔を持つ大自然の中で、不登校児たちは、失われた人間性を取り戻し、たくましく生まれ変わっていくのです。