文部科学省は、平成22年度に高校生の不登校と中途退学に関する調査を行い、高校生の現状を報告しています。
また、不登校の対策として、魅力ある学校作りと不登校の生徒に対する柔軟な対応を進める方針を明らかにしています。
調査にもとづく高校生の不登校の現状と、実際にとられている対策についてまとめました。
目次
不登校の高校生の割合は?文部科学省の調査からみる現状
不登校の高校生の割合
平成22年度の調査では、高等学校に在籍する生徒のうち不登校の生徒数は55,707人で、これは60人に1人の割合です。
学年別では1年生が一番多く、全日制の高校に通う高校生全体の1.4%、2年生が1.2%、3年生が0.8%となっています。
全日制よりも定時制の高校の不登校率が高く、全日制でも専門学科のほうが普通科よりも不登校率が高くなっています。
高校生に多い不登校のきっかけとは?
上記の調査では、不登校のきっかけで高校生に一番多いものは「無気力」だと報告していて、全体の24.2%を占めています。
次いで「不安など情緒的な混乱」が16.5%、「あそび・非行」が10.9%の順になっており、「不安などの情緒的混乱」が25%以上を占める小中学生との違いがみられます。
中途退学者の割合は?
不登校の高校生のみのデータではありませんが、高校生全体の中途退学率は平成22年度で1.64%で、退学者の約4割が「学校生活・学業不適応」が理由で退学しています。
不登校の高校生の現状をふまえた文部科学省の対策は?
文部化科学省は、スクールカウンセラーや適応指導教室の充実などの、不登校の生徒をサポートするため対策を行ってきました。
また、不登校の生徒に配慮した柔軟性のある対応ができるように、以下のような対策も行っています。
通信を使った教育での単位認定
認定には一定の条件がありますが、36単位を上限に、通信を使った教育方法での単位認定が可能になりました。
不登校の生徒を対象にした教育課程
高等学校と認められるには、通常は決められた教育課程にしたがった授業の編成をしなければなりません。
文部科学省は一部の学校を指定し、通常の教育課程に縛られない、不登校の生徒に配慮した特別な教育課程を編成できるようにしています。
学校外の機関での出席扱い
適応指導教室やフリースクールなどの学校以外の機関への登校を、在籍する高校の出席として扱うことができるようになりました。
他機関への登校を出席日数として認めてもらうには、一定要件を満たした機関であることと、在籍する高校の校長の認可が必要です。
不登校の高校生の現状と文部科学省が進める対策まとめ
平成22年度に行った調査からみる現状
・高等学校に在籍する生徒のうち不登校の生徒数は55,707人で、60人に1人の割合になり、学年別では1年生が一番多い。
・全日制よりも定時制の高校の不登校の率が高く、全日制でも専門学科のほうが普通科よりも不登校の率が高い。
・不登校のきっかけで一番多いものは「無気力」で全体の24.2%、以下「不安など情緒的な混乱」「あそび・非行」の順になっている。
・高校生全体の中途退学率は平成22年度で1.64%で、退学者の約4割が「学校生活・学業不適応」が理由で退学している。
高校生の現状をふまえた文部科学省の対策
・認定には一定の条件があるが、36単位を上限に、通信を使った教育方法での単位認定が可能になった。
・一部の指定高校において、通常の教育課程に縛られない、不登校の生徒に配慮した特別な教育課程を編成できるようになった。
・適応指導教室やフリースクールなどの学校以外の機関への登校を、在籍する高校の出席として扱うことができるようになった。
・他機関への登校を出席日数として認めてもらうには、一定要件を満たした機関であることと、在籍する高校の校長の認可が必要。